2025.12.10
「トレーナーは導くだけ。」自分は教えすぎないことを意識しています。
トレーニングやリハビリの現場では、「できた」を先に与えてしまう場面があります。
正しいフォームを手で補助してあげたり、動かせない位置まで持っていってあげたり——。
もちろん、それは必要なタイミングでは使うべきです。
ただ、それが“ずっと続く”と問題が起きます。
本人の予測と、実際に成功した結果が一致しなくなるんです。
「本人の予測と実際に成功した結果が一致???どういうこと?」となりますよね。
例で言うと、みなさんこのような経験はありませんか?
「マッサージや整体に行った直後はいいけど、数時間後または翌日には身体がいつも通り痛くなってる、いつもと変わらない」
このような経験されてる方多いと思います。これがつまり自分自身で動かしたわけではない正しい結果になってしまうので「身体が成功体験として覚えていないので次の日には忘れてしまう」といった現象なのです。
「自分はこう動かしている」と思っているのに、実はトレーナー側、施術者側が全部正解に寄せてあげている。
これだと、本人は気づかないまま“成功を外付け”されている状態になります。
運動学習は、本来
自分の予測した行動 → 結果を見る → 誤差に気づく → 予測を更新
このサイクルが回ることで成立します。
補助をし続けると、「誤差に気づく」という工程が抜けるんです。
例えば「腕を真上にあげてください」という課題があるとします。
本人は真上に上がっているつもりでも、実際はわずかに前方へ倒れていることがあります。
このとき、トレーナーがすぐに「違います」と言って修正すると、それは“指示の修正”であって“本人の気づき”には繋がらない。
筋トレのフォーム修正も同じです。フォームが違うからといって間違いを全てトレーナーが教え、軌道も全てトレーナーが修正させてしまうと覚えません。
(もちろん初心者の方には正しい形というのを教えることが大事ですので手取り足取り教えることが全てダメ!というわけではありません。引き出しの一つとして全て持っておかなければなりません)
大事なのは、本人が
「今のは違った」
と自分で検出できることです。
そのためには、成功に近づくための“選択肢”や“ヒント”を出すことが必要になります。
もし誤差を本人が検出できるようになると
・フォームは自動的に安定し
・修正の精度が上がり
・再現性が高くなります
競技者でも、一般の方でも同じです。
結局のところ、
成功は自分で作らないと学習になりません。
提供された成功は一時的には価値がありますが、長期的な定着には繋がりにくい。
シオンジムで大切にしているのは、
「本人が自分で気づき、成功を作れる流れを作ること」
成功を“与える”より
成功を“作れるようにする”。
この差は大きいです。
そして、その積み重ねは日常の動作も変えます。
荷物を持つ姿勢、階段の上り方、座り方、歩幅。
その人が本来持っている運動の可能性は、
“気づけた瞬間”から伸び始めます。
今日の気付きが、自分の成功を作れる瞬間になりますように。